Artek スツール 60 Villi

1933年にアルヴァ・アアルトによりデザインされたスツール60の90周年を記念し発表されたスツール。
このスツール60 Villi（ヴィッリ）は、フィンランド語で「野生」や「自然そのままの状態」を表す名前の通り、新たな木材選定基準による自然ならではの個性が表出したバーチ材を用いています。アルテックとイタリアのデザインスタジオのフォルマファンタズマ(Formafantasma)は、現代の気候変動と工業化がフィンランドの森林と木材に与える影響を踏まえ、木材を自然そのままに近い状態で、無駄なく大切に使用することを提唱した新たな木材選定基準「Wild Birch-自然そのままの白樺」を開発しました。Villiはアルテックとフォルマファンタズマ、両者共通の問題意識と価値観、継続的な協働により生み出された最初の製品であり、これからのスタンダードに加わる製品です。

スツール60に用いられる「L-レッグ」は、無垢材の曲げる箇所に切れ込みを入れ、その切れ込みにベニヤ板を差し込む技法で製造されています。アルテックならではの技法や職人の手仕事が美しいデザインとなり、豊かな経年変化を楽しめることでしょう。

MoMAコレクションに収蔵されているこの一見シンプルなスツールは、アルヴァ・アアルトが家具デザインに最も貢献したとされるL字型の脚を備えているのが特徴です。
脚から天板への滑らかな視覚的変化と構造的な安定性を実現したデザインは、世界中で愛されています。このスツールは、MoMAのコレクションに加え、1998年に同館建築・デザイン部門が開催した回顧展「Alvar Aalto: Between Humanism and Materialism」でも展示されました。

アアルトの初期の家具デザインの多くは、フィンランドのパイミオにある結核療養所のためのもので、快適さ、暖かさ、メンテナンスと収納のしやすさといった厳しい基準に基づいています。フィンランドで豊富に産出される白樺が選ばれたのは、患者が冷たいものに触れてはいけないという彼の信念があったからでした。